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III 高齢者の暮らし
1 この10年で約2倍に増加した高齢の単身者の世帯,夫婦のみの世帯
我が国では,急速に人口の高齢化が進んでおり,それに伴って高齢者のいる世帯が増加している。平成12年の一般世帯数4678万世帯のうち,65歳以上の親族(高齢親族)のいる一般世帯は1504万世帯で,5年前に比べ17.7%増加しており,一般世帯に占める割合も,2年の26.4%から,7年の29.1%,12年の32.2%と次第に上昇し,一般世帯の3分の1に近づいている。
平成2年から12年の10年間について,高齢親族のいる一般世帯を家族類型別にみると,「単独世帯」は,2年の162万世帯から12年の303万世帯へと,この10年間で1.9倍に増加している。また,核家族世帯のうち,「夫婦のみの世帯」は同様に222万世帯から398万世帯へと,1.8倍に増加し,このうち「夫婦共に65歳以上の世帯」は137万世帯から283万世帯へと,この10年間で2.1倍に増加している。さらに,「夫婦と子供からなる世帯」は1.9倍,「ひとり親と子供から成る世帯」は1.7倍と,核家族の増加も著しい。一方で,「その他の親族世帯」は,この10年間で530万世帯から520万世帯に減少している。(表5)
2 民営の借家に住む世帯の割合が高い高齢単身者
住宅に住む高齢親族のいる一般世帯(1501万世帯)の住宅の所有の関係別割合をみると,持ち家が84.1%と多く,民営の借家が9.1%,公営の借家が4.4%となっており,公団・公社の借家(1.4%),給与住宅(0.4%),間借り(0.6%)はごくわずかである。これを一般世帯全体と比べると,持ち家の割合が高く,民営借家の割合が低くなっている。
高齢夫婦世帯(夫65歳以上,妻が60歳以上の夫婦のみの世帯)についてもほぼ同様で,持ち家が86.0%,民営の借家が6.7%となっているが,高齢単身世帯(65歳以上の単独世帯)では持ち家の割合が63.8%と低く,民営の借家の割合が22.6%と高くなっている。中でも,男性の高齢単身世帯では,民営の借家の割合が33.6%と3割を超えている。(表6)
3 高齢無職世帯の収入の86%は社会保障給付
二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上で無職の世帯(世帯主が65歳以上の世帯全体の65.1%, 平均世帯人員2.36人,世帯主の平均年齢72.0歳)の平成13年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均240,537円となっている。内訳をみると,公的年金などの社会保障給付(207,282円)が実収入の86.2%を占めている。
消費支出は,245,752円で,可処分所得(215,337円)を30,415円上回っており,不足分は貯蓄の取り崩しなどで賄っている。(図9)
図9 世帯主が65歳以上の無職世帯の実収入及び消費支出(平成13年)
資料:「家計調査」(農林漁家世帯を含む。)
4 高齢単身無職世帯の収入の不足分は14%
単身世帯について,65歳以上で無職の世帯(65歳以上の単身世帯全体の86.2%, 平均年齢73.8歳)の平成13年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均134,432円となっている。内訳をみると,公的年金などの社会保障給付(123,356円)が実収入の91.8%を占めている。
消費支出は,147,702円で,可処分所得(125,938円)を21,764円上回っており,不足分は, 実支出(156,196円)の13.9%を占めている。(図10)
図10 65歳以上の単身無職世帯の実収入及び消費支出(平成13年)
資料:「単身世帯収支調査」
5 高齢無職世帯の貯蓄現在高は2245万円
二人以上の世帯について,世帯主が60歳以上の無職世帯の平成14年1〜3月期平均の貯蓄現在高をみると,1世帯当たり2245万円となっている。これを貯蓄の種類別にみると,定期性預貯金が1170万円(貯蓄現在高に占める割合52.1%)と最も多く,以下,生命保険などが448万円(同20.0%),通貨性預貯金が309万円(同13.8%),有価証券が298万円(同13.3%)の順となっている。
これを世帯主が60歳未満の勤労者世帯と比較すると,貯蓄現在高では60歳未満の世帯の1.9倍となっている。これを貯蓄の種類別にみると,有価証券が60歳未満の世帯の3.8倍と特に多くなっている。(図11)
図11 世帯主の年齢階級別貯蓄現在高(平成14年1月〜3月期平均)
資料:「家計調査」(貯蓄負債編)