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IV 高齢者世帯の消費と貯蓄
1 高齢無職世帯の収入の84%は社会保障給付
二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上で無職の世帯(世帯主が65歳以上の世帯全体の64.0%,平均世帯人員2.37人,世帯主の平均年齢72.0歳)の平成10年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均260,830円となっている。内訳をみると,公的年金などの社会保障給付(218,627円)が実収入の83.8%を占めている。
消費支出は,251,677円で,可処分所得(238,713円)を12,964円上回っており,不足分は貯蓄の取り崩しなどで賄っている。(図7)
資料:「家計調査」
2 高齢勤労者世帯の主な収入は,世帯主の勤め先収入と社会保障給付
二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上の勤労者世帯(世帯主が65歳以上の世帯全体の12.8%,平均世帯人員2.51人,世帯主の平均年齢68.0歳)の平成10年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均482,823円となっている。内訳をみると,世帯主の勤め先収入(241,534円)が実収入の50.0%を,社会保障給付(177,607円)が36.8%を占めている。
可処分所得は431,820円で,そのうち消費支出は310,266円,貯蓄などの黒字は121,554円となっている。(図8)
資料:「家計調査」
3 高齢世帯の貯蓄現在高は有業者世帯で約2500万円,無職世帯で約2200万円
二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高をみると,平成10年12月31日現在で有業者世帯(全世帯から世帯主が無職の世帯を除いたもの)が2486万円,無職世帯が2166万円となっており,これを世帯主が65歳未満の世帯の貯蓄現在高1487万円と比べると,有業者世帯で1.7倍,無職世帯で約1.5倍となっている。
また,内訳を比べると,定期性預貯金が有業者世帯で約1.9倍,無職世帯で約1.7倍,有価証券が有業者世帯で約2.8倍,無職世帯で約2.3倍となっている(図9)
図9 世帯主の年齢階級,貯蓄の種類別現在高(二人以上の世帯)(平成10年)
資料:「貯蓄動向調査」
4 平均消費性向の高い60歳以上の単身無職世帯
単身世帯について,60歳以上で無職の世帯(平均年齢72.1歳)の平成10年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均124,720円となっている。内訳をみると,公的年金などの社会保障給付(110,519円)が実収入の88.6%を占めている(図10)
可処分所得に占める消費支出の割合(平均消費性向)は121.2%で,世帯主が60歳以上の二人以上の無職の世帯(111.3%)に比べて9.9ポイント高くなっている。
図10 単身で60歳以上の無職世帯の実収入及び消費支出(平成10年)
資料:「単身世帯収支調査」