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III 高齢者世帯と住宅事情
1 増加する高齢者のいる世帯
平成10年10月1日現在で実施した「住宅・土地統計調査」によると,高齢者のいる世帯数は1387万世帯で世帯全体(4389万世帯)の31.6%を占めている。
高齢者のいる世帯は,平成5年の1176万世帯から210万世帯(17.9%)増加し,世帯全体に占める割合は,平成5年の28.9%から2.7ポイント上昇した。
高齢者のいる世帯の内訳をみると,高齢単身世帯が242万世帯,高齢夫婦世帯が349万世帯で,高齢者のいる世帯のそれぞれ17.5%,25.2%を占めている。(図5)
5年前と比べると,高齢単身世帯が60万世帯,高齢夫婦世帯が88万世帯,その他の高齢者世帯が62万世帯増加している。これを増加率でみると,それぞれ33.2%,33.8%,8.4%となっており,高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の増加が著しい。
(注)ここでは,高齢者のいる世帯(65歳以上の者のいる世帯)を次の三つの型に区分している。
- 高齢単身世帯・・・・・・・・・65歳以上の単身者のみの主世帯
- 高齢夫婦世帯・・・・・・・・・夫婦とも若しくはいずれか一方が65歳以上の夫婦一組のみの主世帯
- その他の高齢世帯・・・・・・・高齢者のいる主世帯から上記の二つを除いたもの
2 高齢者のいる世帯の8割以上が持ち家に居住
高齢者のいる世帯の持ち家率は,85.2%に達しており,世帯全体の60.3%に比べかなり高くなっている。このうち,高齢夫婦世帯が84.9%,その他の高齢者世帯が91.4%といずれも高い持ち家率となっているのに対し,高齢単身世帯では65.3%と相対的に低い。
3 設備水準が相対的に低い高齢単身世帯の住宅
高齢者のいる世帯が住んでいる住宅のうち,水洗便所(浄化槽による水洗便所を含む。)のある住宅の割合(水洗化率)は74.8%と,住宅全体の水洗化率83.0%より8.2ポイント低くなっている。特に高齢単身世帯が住んでいる住宅が70.5%と低く,その他の高齢者世帯が住んでいる住宅は75.3%,高齢夫婦世帯が住んでいる住宅は76.5%となっている。
また,高齢者のいる世帯が住んでいる住宅のうち浴室のある住宅の割合(浴室保有率)は96.3%で,住宅全体の浴室保有率95.5%より0.8ポイント高くなっている。そのうち高齢夫婦世帯が住んでいる住宅及びその他の高齢者世帯が住んでいる住宅がそれぞれ96.9%,98.6%と高い保有率であるのに対し,高齢単身世帯が住んでいる住宅は88.2%と,住宅全体の水準より7.3ポイント低くなっている。
洗面所の保有率については,高齢者のいる世帯が住んでいる住宅が88.7%と住宅全体の保有率85.5%より高くなっている。このうち高齢夫婦世帯が住んでいる住宅とその他の高齢者世帯が住んでいる住宅はともに89.4%,92.7%と高い保有率になっているが,高齢単身世帯が住んでいる住宅は74.4%と,かなり低い水準にとどまっている。(図6)