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平成23年社会生活基本調査のポイント(調査結果の一層の利活用に向けて)
社会生活基本調査は,昭和51年の調査の開始以来,国民の生活時間の配分や余暇時間の活動状況など, 経済的な尺度では測れない国民生活の実態を表す貴重な統計データを提供してきました。
近年,我が国社会では,少子高齢化への対応が重要な課題となっております。
少子化の流れを変え,労働力人口の減少に対応するためには,子育てや介護を行っている者も含め多様な働き方が可能となる環境づくりが求められており, そうした面から近年,ワーク・ライフ・バランスの重要性が指摘されております。 こうした,ワーク・ライフ・バランスの取組は,健康で豊かな生活の実現など国民の生活の質の向上にも資するものと考えられております。
また,少子高齢化社会の中で,子どもの育成やまちづくり等を地域において助け合って行う地域コミュニティーの役割が注目されており, 特に,NPOなどの果たす役割が期待されております。
平成23年社会生活基本調査では,こうした諸課題を踏まえつつ,国や地方自治体の関連する行政施策の企画立案や学術研究の推進などに一層資するため,調査内容の充実を図っております。
また,調査の効率的な実施のための改善や生活時間に関する国際比較性の向上を図るために必要な見直しなども行っております。
その主な内容は以下のとおりです。
調査内容について
ワーク・ライフ・バランスの把握に資する事項の充実
- 「有給休暇の取得日数」,「勤務形態(フルタイムや短時間勤務の別など)」,「就業希望時間」などを新たに把握します。
- 労働時間などの分析に資する事項として,「健康状態」などを新たに把握します。
少子高齢化対策に資する事項の充実
- 育児をしている世帯について,従来から把握している10歳未満の者の保育等の状況に加え,新たに「世帯外からの育児の手助けの状況」を把握します。
- 介護をしている人について,介護の対象になる人がどのぐらいの距離に住んでいるのかなど介護の状況がより詳細に把握できるようにします。
地域コミュニティー活動の把握に資する事項の充実
- ボランティア活動の実施について,NPOや地域社会とのつながりの強い組織などとの関係が把握できるようにします。
- ボランティア活動の「1回当たりの活動時間」を新たに把握します。
調査方法について
調査票の回収に係る回答者の利便性の向上や効率的な実施を図るため,調査票Bについて,インターネットによる回答も選択できるようにします。
生活時間の国際比較について
生活時間調査は多くの諸外国でも実施されています。生活時間に係る行動の分類の基準について細分化し,国際比較がより的確に行えるようにします。
最後に,平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う節電の実施等により,国民生活にも何らかの変化が生じている可能性があります。また,震災に伴う全国的なボランティア活動の状況も注目されます。
今回の調査では,生活時間等の把握を通じて,こうした国民のライフスタイルの変化や,ボランティア活動の状況などが明らかになる点も注目すべきポイントであります。
(平成23年9月9日)