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第20章 社会保障

 この章は,社会保障関係,社会保険関係及び社会福祉で構成されている。
 社会保障関係は,社会保障給付費及び社会保障財源に関する統計を掲載している。資料源は,国立社会保障・人口問題研究所「社会保障給付費」である。
 社会保険関係には,医療保険,年金保険,雇用保険,労働者災害補償保険,介護保険,恩給及び戦傷病者援護に関する統計を掲載している。資料源は,国立社会保障・人口問題研究所「社会保障統計年報」及び各種社会保険の「事業年報」である。
 社会福祉には,社会福祉行政業務,高齢者保健(医療)福祉,福祉サービス,生活保護及び社会福祉施設に関する統計を掲載している。主な資料源は,厚生労働省「福祉行政報告例」,「社会福祉施設等調査」,「国民生活基礎調査」,「介護サービス施設・事業所調査」及び前記「社会保障統計年報」である。
 なお,公衆衛生及び医療は「第21章 保健衛生」,労働災害は「第26章 環境・災害・事故」を参照のこと。
 関係資料については,「付1 統計資料案内」を参照のこと。

社会保障給付費

 社会保障給付費は,ILO(国際労働機関)が国際比較上定めた基準に基づき,国立社会保障・人口問題研究所が,国内の社会保障各制度の給付費について,毎年度の決算等を基に推計したものである。下記のILOの基準に従えば,国内の社会保障の制度として,社会保険制度(雇用保険や労働者災害補償保険を含む),家族手当制度,公務員に対する特別制度,公衆衛生サービス,公的扶助,社会福祉制度,戦争犠牲者に対する給付などが含まれる。
 ILOでは,以下の3基準を満たすすべての制度を社会保障制度と定義している。
〈1〉制度の目的が,次のリスクやニーズのいずれかに対する給付を提供するもの。
 (1)高齢 (2)遺族 (3)障害 (4)労働災害 (5)保健医療 (6)家族 (7)失業 (8)住宅 (9)生活保護その他
〈2〉制度が法律によって定められ,それによって特定の権利が付与され,あるいは公的,準公的又は独立の機関によって責任が課せられるものであること。
〈3〉制度が法律によって定められた公的,準公的又は独立の機関によって管理されていること。あるいは法的に定められた責務の実行を委任された民間の機関であること。

社会保険

 社会保険は,疾病,老齢,障害,死亡,失業などに対して一定の給付を行い,被保険者及びその遺族の生活安定を図ることを目的とする制度である。その種類には,疾病,負傷,分娩などについて必要な医療と,それに伴う経済的損失に対する給付を行う医療保険,老齢,障害,死亡など労働能力の喪失又は減少に対する年金保険,労働能力はあっても働く機会のない失業に対する雇用保険,労働者の業務上の災害や通勤途上の災害を補償する労働者災害補償保険,国民皆で介護を支える制度として介護保険がある。そのほか,以下のとおり,医療保険と年金保険がある。

医療保険

 医療保険には,職域・地域,年齢に応じて次の種類がある。

  • 一般の被用者を対象とする健康保険(これには,健康保険法の規定に基づき,健康保険組合が設立されている大規模事業所の被用者を対象とする組合管掌健康保険と,健康保険組合が設立されていない中小企業などの事業所の被用者等を対象とする全国健康保険協会管掌健康保険(平成20年9月以前は政府管掌健康保険(一般))とがある)
  • 日雇労働者を対象とする全国健康保険協会管掌健康保険(昭和59年9月以前は日雇労働者健康保険,59年10月から20年9月までは政府管掌健康保険)
  • 特定の職域を対象とする船員保険(疾病部門)及び各種共済組合(国家公務員,地方公務員,私立学校教職員)(公共企業体(JR,JT,NTT)職員等の共済組合は,昭和59年4月以降国家公務員共済組合に統合され,国家公務員等共済組合(各省各庁組合)と同(適用法人組合)とに区分されたが,平成9年4月以降適用法人組合は,医療保険部門で健康保険組合が設立された)
  • 上記以外の一般住民を対象とする国民健康保険(これには,建設業,医師等の特定の業主の者を対象とする国民健康保険組合と,それ以外の一般の者を対象とする国民健康保険とがある)

 なお,原則75歳以上の者は,後期高齢者医療制度の対象となる。

年金保険

 年金保険は,昭和61年4月から,全国民共通の基礎年金(国民年金)が導入され,その上乗せとして被用者の年金を支給する制度に再編成された。被用者の年金には,一般の被用者を対象とする厚生年金保険及び各種共済組合(国家公務員,地方公務員,私立学校教職員)がある(旧公共企業体の共済組合については平成9年4月以降に,農林漁業団体職員共済組合は14年4月にそれぞれ厚生年金保険に統合された)。このほか,厚生年金保険法の規定に基づき,厚生年金保険の被保険者を一定の人数以上雇用する事業所が設立し,厚生年金保険の老齢年金給付の一部を代行し,あわせて附加給付の支給等を行う厚生年金基金と,被用者年金には加入していない自営業者等に対し基礎年金の上乗せ年金を支給する国民年金基金がある。また,国民年金第1号被保険者で一定の要件を満たす農業者を被保険者とし,年金業務等を行う農業者年金(平成14年1月以降積立方式に変更)がある。なお,受給者とは,全額受給者及び若年,高額所得等の理由による一部支給者あるいは一部停止者をいい,受給権者とは,受給者,若年全額停止者及び再就職停止者をいう。

介護保険

 介護保険制度は,高齢化や核家族化の進行に伴い深刻化していた介護問題を解決するため,医療と福祉に分かれていた高齢者介護に関する制度を再編し,国民皆で介護を支える制度として,平成12年4月から施行されている。
 保険者は市町村(特別区を含む),被保険者は第1号被保険者が65歳以上の者,第2号被保険者が40歳以上65歳未満の医療保険加入者に区分されている。

 要介護者 要介護状態にある65歳以上の者及び要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたものをいう。

 要支援者 要支援状態にある65歳以上の者及び要支援状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたものをいう。

恩給

 公務員が,一定年限以上勤務して退職又は死亡した場合及び公務に起因した傷病のため退職又は死亡した場合に,本人及びその遺族の生活の安定を図るため国・地方公共団体が支払う年金をいう。恩給には,旧軍人に対する軍人恩給と文官に対する文官恩給とがある。なお,恩給制度は,昭和38年以降全面的に共済制度に吸収統合され,現在は37年12月以前に退職又は死亡した本人又は遺族を対象とする受給者のみの制度となっている。

国民医療費

 国民医療費は,当該年度内の医療機関等における傷病の治療に要する費用を中心に毎年厚生労働省で推計している。この額には診療費・調剤費・入院時食事療養費・訪問看護療養費のほかに,健康保険等で支給される移送費等を含んでいる。

福祉行政報告例

 福祉行政報告例は社会福祉関係諸法規の施行に伴う各都道府県・政令指定都市・中核市の行政の実態を数量的に把握し,国の社会福祉行政運用上の基礎資料を得ることを目的として実施されている。この調査は従来厚生省報告例として昭和13年の厚生省(現厚生労働省)設置以来実施されてきたが,平成12年度の地方自治法一部改正に伴い,「福祉行政報告例」と改称され今日に至っているが,その間,法令の制定,改廃その他行政上の必要から,部分的改正を各年度とも行ってきている。
 福祉行政報告例は,全国の社会福祉関係行政機関及び社会福祉施設を対象とし,都道府県・政令指定都市・中核市を通じて報告される月報及び年度報により,毎年「社会福祉行政業務報告」として取りまとめられている。

社会福祉関係行政機関

 社会福祉法に基づいて設置され,各種社会福祉関係法令に規定される援護,育成又は更生の措置を業務とする福祉事務所のほか,児童福祉法に基づく児童相談所,身体障害者福祉法に基づく身体障害者更生相談所,知的障害者福祉法に基づく知的障害者更生相談所,売春防止法に基づく婦人相談所などがある。

社会福祉施設等調査

 社会福祉施設の状況については,当初,厚生省報告例による業務統計として作成されていたが,昭和31年に単独の調査として社会福祉施設調査が発足し,以来毎年厚生省(現厚生労働省)によって実施され,60年からは,3年に1回は精密調査,中間の2年間は簡易調査を行っている。調査は,昭和46年までは12月末日現在,47年からは10月1日現在の全国の社会福祉施設の機能等について,福祉事務所が調査票を配布,取集し,各社会福祉施設の管理者が調査票の記入を行う方法により実施されている。

社会福祉施設

 社会福祉法に基づく社会福祉事業を経営するために設置する施設をいう。これには,生活保護法に基づく保護施設,老人福祉法に基づく老人福祉施設,障害者自立支援法に基づく障害者支援施設等,旧身体障害者福祉法に基づく身体障害者更生援護施設,旧知的障害者福祉法に基づく知的障害者援護施設,旧精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく精神障害者社会復帰施設,身体障害者福祉法に基づく身体障害者社会参加支援施設,売春防止法に基づく婦人保護施設,児童福祉法に基づく児童福祉施設,母子及び寡婦福祉法に基づく母子福祉施設,その他の福祉施設等がある。

介護サービス施設・事業所調査

 介護サービス施設・事業所調査は平成12年4月から介護保険制度が施行されたことを踏まえ,全国の介護サービスの提供体制,提供内容等を把握することにより,介護サービスの提供面に着目した基盤整備に関する基礎資料を得ることを目的として12年から厚生労働省において実施されている。
 調査は全国の介護保険施設,居宅サービス事業所,居宅介護支援事業所等を対象とし,これらのうち活動中の施設・事業所の全数について管理者が調査票に記入する方式で実施された。

介護老人福祉施設

 老人福祉法に規定する特別養護老人ホーム(介護保険制度改正で平成18年4月から入所定員が30人以上になった)で,かつ,介護保険法による都道府県知事の指定を受けた施設であって,入所する要介護者に対し,施設サービス計画に基づいて,入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活上の世話,機能訓練,健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設。

介護老人保健施設

 介護保険法による都道府県知事の開設許可を受けた施設であって,入所する要介護者に対し,施設サービス計画に基づいて,看護,医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話を行うことを目的とする施設。

介護療養型医療施設

 医療法に規定する医療施設で,かつ,介護保険法による都道府県知事の指定を受けた施設であり,入院する要介護者に対し,施設サービス計画に基づいて,療養上の管理,看護,医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他の必要な医療を行うことを目的とする施設。

児童手当

 児童手当は,児童手当法に基づき児童を養育する家庭の生活の安定と次代を担う児童の健全育成及び資質の向上を目的として,昭和47年1月から実施されている。

国民生活基礎調査(基幹統計調査)

 国民生活基礎調査は,厚生労働行政の有効適切な企画及び運営に資するため,厚生労働省によって実施されている。この調査は,「厚生行政基礎調査」,「国民健康調査」,「保健衛生基礎調査」及び「国民生活実態調査」を統合して,昭和61年を初年として開始されたものであり,3年ごとに大規模調査,中間の各年には小規模調査が実施されている。
 調査は,全国の世帯及び世帯員を対象とし,世帯票については,平成17年国勢調査区から層化無作為抽出された世帯及び世帯員に対して,都道府県・保健所設置市・特別区及び保健所を通じ,調査員が世帯に調査票を配布し,後日回収する方法により実施されている。平成21年調査は,全国1,088地区の約5万7千世帯,約15万人の世帯員について,6月4日現在で実施された。

高齢者世帯

 65歳以上の者のみの世帯又はこれらに18歳未満の未婚者がいる世帯。

母子世帯

 配偶者のいない65歳未満の女と20歳未満のその子のみの世帯。

父子世帯

 配偶者のいない65歳未満の男と20歳未満のその子のみの世帯。

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