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平成26年4月21日
総務省
統計トピックスNo.81
統計でみるサービス産業の回復基調 − サービス産業動向調査の結果から −
サービス産業動向調査は、サービス産業の売上や雇用等の動向を明らかにするため、平成20年から毎月実施している統計調査です。
今回は本調査の結果注)を用いて、近年売上が回復している分野を中心に、サービス産業の動向を御紹介いたします。
注) 調査は平成20年7月に開始したため、年間売上高の結果は平成21年以降、前年比については平成22年以降の数値となります。また、平成25年11月以降の数値は速報値のため、後日公表する確報値とは異なる場合があります。
1.近年の動向
サービス産業の概況
サービス産業の年間売上高は、2年連続で増加
平成25年はおおむね前年同月を上回る水準で推移し、後半にかけて増加幅が拡大
サービス産業の年間売上高は、東日本大震災の影響で落ち込んで以降、2年連続で増加しています(図1、2)。
平成25年における毎月の売上高をみると、おおむね前年同月を上回る水準で推移し、後半にかけて増加幅が拡大しています(図3)。景気回復が各産業へ徐々に波及していることがうかがえます。
図1 サービス産業の年間売上高の推移
図2 サービス産業の年間売上高(前年比)の推移
注) 凡例は文末参照(以下同じ。)。
図3 サービス産業の月間売上高(前年同月比)の推移
情報通信サービス等の市場拡大
「情報通信業」や「医療,福祉」は、震災以前の水準を大きく更新
「不動産業,物品賃貸業」や「専門・技術サービス業」は、復興特需後も一定の需要
産業別に近年の動向をみると、「情報通信業」や「医療,福祉」の年間売上高は増加が続いており、既に東日本大震災以前を大きく上回る水準に達しています。スマートフォン等の普及や高齢化に伴う医療・介護サービスの利用増などが、関連サービスの市場拡大の背景にあるものと考えられます。
また、「不動産業,物品賃貸業」や「専門・技術サービス業」は、平成24年には東日本大震災からの復興関連機械のリースや土木関係の技術サービスなどの、特需と見られる売上高の増加がありました。平成25年は前年ほどの増加ではありませんが、一定の需要が続いています(図4〜6-2)。
図4 主なサービス産業の年間売上高の推移
図5 主なサービス産業の年間売上高(前年比)の推移
図6-1 主なサービス産業の月間売上高(前年同月比)の推移(情報通信業、医療,福祉)
図6-2 主なサービス産業の月間売上高(前年同月比)の推移(不動産業,物品賃貸業、専門・技術サービス業)
2.平成25年の動向
個人消費の増加
「飲食店」は、平成25年に入りおおむね前年を上回る水準で推移
旅行業や「鉄道業」、「道路旅客運送業」は、おおむね前年を上回る水準が継続
平成25年に入り、「飲食店」の売上高はおおむね前年を上回る水準で推移しています。比較的単価の高いメニューを好む志向(いわゆる"ちょい高")の広がりもうかがえます。
また、旅行業を含む「その他の生活関連サービス業」や「鉄道業」及び「道路旅客運送業」の売上高もおおむね前年比増で推移しています。景気回復や円安に伴う外国人観光客の増加などの影響で、旅客の移動が活発になっているものと考えられます(図7、8)。
図7 主なサービス産業の売上高(前年同期比)の推移
図8 主なサービス産業の月間売上高(前年同月比)の推移
物流の活発化等
物流に関連する「道路貨物運送業」、「水運業」及び「倉庫業」は、平成25年後半から回復
機械設備リースなどの「物品賃貸業」も、平成25年後半から回復
インターネット広告などの「広告業」は、平成25年に入り前年比大幅増で推移
平成25年の後半辺りから、「道路貨物運送業」、「水運業」及び「倉庫業」の売上高が前年を上回っています。物流は、旅客の移動とは対照的に前年割れの売上高が続いていましたが、特に最近になって活発化してきたことが分かります。
また、「物品賃貸業」の売上高も平成25年の後半から前年を上回っています。震災特需一巡後、企業の設備投資の持ち直しによりリース需要が再び増加してきたことがうかがえます。さらに、テレビ広告やインターネット広告などの「広告業」は、平成25年に入り前年比大幅増で推移しています(図9〜10-2)。
図9 主なサービス産業の売上高(前年同期比)の推移
図10-1 主なサービス産業の月間売上高(前年同月比)の推移(道路貨物運送業、水運業、倉庫業)
図10-2 主なサービス産業の月間売上高(前年同月比)の推移(物品賃貸業、広告業)
震災からの復興の加速
がれき処理を含む「廃棄物処理業」は、平成25年後半から前年比増
「廃棄物処理業」の売上高は、平成25年の後半から前年比が増加しています。震災以降続けられているがれきの処理が、政府目標である平成25年度末の完了を前に、更に加速・収束に向かったことも、その要因として考えられます(図11、12)。
図11 廃棄物処理業の売上高(前年同期比)の推移
図12 廃棄物処理業の月間売上高(前年同月比)の推移
◆ サービス産業動向調査について
サービス産業動向調査は、我が国経済(GDP=国内総生産)の7割を占めるサービス産業について、月次の経済活動の規模と動向を測る統計がなかったために、創設された調査です。
調査は、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「不動産業,物品賃貸業」、「専門・技術サービス業」(日本標準産業分類「学術研究,専門・技術サービス業」のうち学術開発研究機関以外のもの)、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」など、幅広いサービス産業(第三次産業)を対象としています。なお、物販(「卸売業,小売業」)や経理が特殊な「金融業,保険業」等は、調査対象から除いています。
<凡例>
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