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家計調査平成14年平均結果の概況(詳細編)I-2.(2)
(2)非消費支出は5年連続の減少
直接税や社会保険料などの非消費支出は85,776円で,名目0.8%の減少と5年連続の減少となった。
非消費支出の内訳をみると,前年の実収入の減少もあって個人住民税(名目-2.8%),勤労所得税(名目-1.9%)が減少となった。一方,厚生年金や雇用保険などの社会保険料(名目+0.2%)は増加となった。
実収入に対する非消費支出の割合の推移をみると,平成6年に特別減税の実施により15.2%と前年に比べ1.0ポイント低下した後,7年は特別減税が継続して実施されたものの,公的年金の保険料率が引き上げられたため,15.5%と前年に比べ0.3ポイント上昇した。平成8年も前年と同規模の特別減税が実施されたが,15.7%と前年に比べ0.2ポイント上昇した。平成9年は特別減税が継続されなかったほか,8年10月に公的年金の保険料率が引き上げられたこともあって前年に比べ0.8ポイント上昇し,16.5%と現行の調査開始(昭和38年)以来最も高い水準となった。平成10年は二度の特別減税の実施により,15.8%と前年に比べ0.7ポイント低下し,11年は,定率減税の実施もあって15.8%と前年と同水準となったが,12年は前年の実収入の減少もあって個人住民税が減少したことなどから15.7%と前年に比べ0.1ポイント低下し,13年は勤労所得税などが減少したものの雇用保険料の料率が引き上げられたこともあり15.7%と前年と同水準となった。平成14年は勤労所得税などが減少したものの,前年に続き雇用保険料の料率が引き上げられたことなどから15.9%と前年に比べ0.2ポイント上昇した(表4)。
表4 非消費支出の対前年名目増加率及び実収入に対する割合(全国・勤労者世帯)(エクセル:33KB)
非消費支出の名目増加率に対する税・社会保険料別寄与度をみると,勤労所得税は,特別減税が実施された平成6年と税制改正による減税及び特別減税が実施された7年は,非消費支出の減少に大きく寄与した。平成8年は特別減税が実施されたものの,賞与が5年ぶりに増加したこともあって非消費支出の増加に寄与した。平成9年は特別減税が継続されなかったこともあって非消費支出の増加に大きく寄与したが,10年は二度の特別減税が実施されたほか,実収入が減少したことから非消費支出の減少に大きく寄与した。平成11年は定率減税が実施されたほか,実収入の減少もあって非消費支出の減少に寄与した。平成12年,13年及び14年は臨時収入・賞与の減少などから非消費支出の減少に寄与した。
個人住民税は,特別減税が実施された平成6年は非消費支出の減少に寄与したが,7年は税制改正による減税及び特別減税が実施されたものの,特別減税の規模が前年に比べ小さかったことから非消費支出の増加に寄与した。平成8年はわずかに非消費支出の減少に寄与したが,9年は特別減税が継続されなかったこともあって非消費支出の増加に寄与した。平成10年は特別減税の実施から非消費支出の減少に寄与した。平成11年は定率減税が実施されたものの,前年との減税方式の違いから非消費支出の減少への寄与に至らなかった。平成12年,13年及び14年は前年の実収入の減少などから非消費支出の減少に寄与した。
社会保険料は,昭和63年以降非消費支出の増加に寄与しており,平成7年は厚生年金などの保険料率が引き上げられたことなどから,非消費支出の増加に最も大きく寄与した。平成8年も厚生年金などの保険料率が引き上げられたため,非消費支出の増加に寄与し,9年,10年も非消費支出の増加に寄与したが,11年は実収入の減少もあって非消費支出の減少に寄与した。平成12年は介護保険料の徴収により健康保険料は増加したものの,実収入の減少から公的年金保険料が減少したため,非消費支出の減少に寄与した。平成13年,14年は,13年4月及び14年10月に雇用保険料率が引き上げられたことなどから非消費支出の増加に寄与した(図7)。
賞与支給期の状況をみると,夏季(6〜7月平均)及び年末ともに,実収入の減少から勤労所得税は非消費支出の減少に寄与した(表5)。
表5 非消費支出とその内訳の推移(全国・勤労者世帯)(エクセル:19KB)