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I 家計収支の概要
1.全世帯の家計
(1)消費支出は8年連続の実質減少
平成12年の全国・全世帯(平均世帯人員3.24人,世帯主の平均年 齢52.7歳)の消費支出は, 1世帯当たり1か月平均317,133円 で,前年に比べ名目(-)1.8%の減少となった。また,消費者物価 (-0.9%)が下落したことから,実質では(-)0.9%の減少となり, 平成5年以来8年連続の実質減少となった。
全世帯の消費支出の最近の動きをみると,平成5年に景気低迷の影響を 受けて実質(-)0.6%の減少となった後,6年が実質(-)0.9%, 7年が実質(-)1.1%と減少幅が拡大した。平成8年は実質 (-)0.1%,9年は実質(-)0.2%の減少と減少幅が縮小したもの の,10年は,前年末の金融システム不安の影響による消費マインドの悪 化や所得の減少がみられ,実質(-)2.2%の減少となり,11年も, 賞与の減少などにより所得の減少が続いたことから実質(-)1.2%の 減少となった。平成 12年は,世帯主の定期収入に下げ止まりの動きが みられたものの,引き続き賞与の減少が続いたことなどにより実質 (-)0.9%の減少となった(図1,表1)。
なお,全世帯の消費支出が8年連続して実質減少となったのは,現行の 調査開始(昭和38年)以来初めてである。
表1 世帯の種類別消費支出の対前年(同期)増加率(全国)(エクセル:20KB)
平成12年の動きを四半期別にみると,1〜3月期は,パック旅行費な どのサービスや衣料品などの半耐久財が減少したことにより実質 (-)1.4%の減少となった後,4〜6月期は,住宅リフォーム関係な どのサービスや食料品などの非耐久財及び衣料品などの半耐久財への支出 が減少したことにより実質(-)0.8%の減少となった。 7〜9月期 も,国内パック旅行費などのサービス,衣料品などの半耐久財,食料品な どの非耐久財や自動車購入などの耐久財への支出が減少したことにより, 実質(-)2.1%の減少となったものの,10〜12月期は,電話通信 料や住宅リフォームなどのサービス,パソコンや自動車購入などの耐久財 への支出が増加したことなどにより実質(+)0.3%の増加となった (図2)。
季節調整済み実質金額指数(平成7年=100)で平成12年の消費支 出の動きを月別にみると,前年の12月に年末賞与の大幅な減少などに よって大きく低下した水準が,2月はうるう年のため1日多かったことに より上昇した後,4月,5月には収入の下げ止まりの動きや,パソコン, 自動車購入などの耐久財支出の増加などから水準を戻したものの,6月以 降は低水準で推移した(図3)。